さんさか ネルドリップ珈琲と本と

夏の甲子園

作詞家で瀬戸内少年野球団の著者でもある阿久悠さんは、野球に関する文章もたくさん残されている。
高校野球こそが日本が世界に誇る文化だと書いていた。
どこの国に、高校生の大会に5万人の観客を集めるスポーツがあるであろうか、と。
故郷を離れた人たちが出身地の高校を応援したり、卒業した母校が出場したらもうお祭り騒ぎ。
地元からバス何台で応援に来ましたとかすごいと思う。
 
よく言うのは、子供の頃は高校球児が自分たちよりお兄さんで
歳をとるにつれ球児たちより歳上になり自然と観なくなると。
もう気がつくと高校野球の監督でさえ、自分より歳下なんてことになっている。
小学生の頃、PL学園にKKコンビがいてとんでもない強さの頃、地元の代表校が甲子園ベスト4まで勝ち進んだ。
実家の2軒隣のおじさんがそこの校長先生だったので、一番よく観た甲子園だった。
自分が歳をとり、松坂世代もマーくん世代の活躍も、観戦したというよりニュースで知ったという感じ。

ずいぶん高校野球を観なくなったなぁと感じていたこのところ。
でもでも、この夏の甲子園がもっとも感動した大会になった。
理由は簡単、同級生の長男が出場していたから。
 
先日、中学の同窓会に出席して四半世紀ぶりに会う同級生もいた。
小・中学校の同級生に高校3年生の息子がいることを知り
しかも甲子園に出場しレギュラー選手として活躍してるなんて本当にびっくりした。
その試合をテレビで観戦した。
主軸を打つ彼の打順になり顔と名前が映り、その雄姿を観ただけでジーンときた。
母親である同級生のにそっくりだ。
プロのスカウトもみているらしい主力選手で、その試合でヒットを打ち盗塁も決め、先制点の打点もあげた。
1点を争う好ゲームだったが惜しくもこの試合で敗退した。
球児たちより先に涙していた。
地元からバス数台で応援に駆けつけた別の同級生に連絡をとった。
「惜しかったなぁ。涙が出たよ」と言うと
「お互い歳とったなぁ」だって。
自分が全力で何かに取り組んだことがあっただろうか?
いいものを観させてもらった。