さんさか ネルドリップ珈琲と本と

本を読んだほうがいいと思う..絶対

清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ
阿久 悠(1937-2007)が産経新聞で2004年から亡くなる少し前まで連載していたコラムをまとめたもの。
かなり強引に要約すると
「若者はほっといても若者だが、大人は努力せずには大人へとなれないのに
テレビの中は子供文化ばかりで、男は“イケメン”で女は“セレブ”でないと価値はなく
自分勝手という自由を手に入れた無作法な世の中は、勤勉・正直・真面目が格好悪いという風潮で
海外に放浪の旅に出て世界の価値観を吸収した日本語を正しく使えない若者が立派で
テレビやケータイはとにかく“次世代”の新商品で今を時代遅れにしようとし、その次世代ケータイ
のメールで日がな一日中、作文に時間を費やすことがいかに異常であるか...」
......
みたいなことを阿久さんはスマートフォンもなければツイッターも始まる前で、橋下さんが知事にも市長にもなっていない
今から8年ほど前に苦言を呈していた。というより、昭和から怒っているという感じで。
連載当時に何本かのコラムは読んで共感していましたが、近頃はこんな風に怒ってくれる人が少なくなったもんだ。
 
この本を読んでの感想というより、本を読むこと自体の意味とはなんぞや?と考えた。
ある程度年をとってくると、職場の上司や先輩、同僚などから学ぶことは徐々に少なくなってくるだろうし
教える年長者の立場に自分がなるべきで、そうでないと成長していないということだろうと。
そうすると何から学ぶかというと、本や映画など直接仕事とは関係のないところで、新しいものを吸収したり
自分の考えを確認したりして、人生観や職業観、価値観を作り上げていくことになるのだろうと思います。
私のように自分の好きなことを生業にして、やりたくないことはやらないとなると、なおのことだと思います。
上司も先輩もいないわけで、日々お客さんとのやりとりから教わることも大切ですが、それとは種類の違うことだと思います。
だから短い詩でも長編小説や娯楽作品でも何でもいいから、とにかく本は読まないより読んだほうがいいと思う..絶対!