さんさか ネルドリップ珈琲と本と

珈琲の先生

珈琲教室のご案内 - さんさか ネルドリップ珈琲と本と
月末に珈琲教室を催すので、当たり前ですが自分が教える立場になります。
普段やっていることを言葉にして、分かるように誰かに伝えるのは案外難しいもので
珈琲教室の日が近づいてきて、少し焦りつつその確認作業をしています。
 
すでにご参加が決まっている方とお話をしているなかで、当然ペーパードリップをお教えすることになっています。
店ではもちろんネルドリップばかりなので、ペーパードリップは週に一度、休みの日に自宅で淹れるときくらいなわけです。
教える側が不慣れでは困りますので、ここのところペーパードリップでどれだけ美味しく淹れられるかの限界に取り組んでいます。
昨年、自称「究極のペーパードリップ」という完全に自惚れですが、ペーパーでほぼネルドリップと同じくらいに
最高に美味しい淹れ方というのを考え出しているので、その改良版です。
よく言われるのが、円錐型のコーノ式でフィルターを二枚重ねにするとネルに近い味になるとか。
分からないでもないですが、そんなものでは甘い、子供だましに過ぎません。
日頃からネルドリップに取り組んでいないと、絶対に考えが及ばないようなペーパードリップをやっています。
とは言うものの、そう簡単に真似ができるテクニックではないので、それをどう転用して
ご家庭でも美味しい珈琲が淹れられるかの確認作業をしています。
 
お店を始めるずっーと以前。
サイフォンをやってみたり、エスプレッソマシンを買ってみたりもしました。
ペーパードリップも台形のカリタ式から、初めて円錐型に替えて淹れてみたら
なんだか急に美味しくなったようにそのときは感じたりもしました。
まあいろいろと試行錯誤を重ねて、今は「台形のほうが絶対に美味しく淹れられます」と円錐派を駆逐して
台形に呼び戻そうとささやかな抵抗をしている次第です。
いろいろとやってみてネルドリップを選択しているので、みなさんが疑問に思うことや
よう分からんと感じることはたいてい自分も経験してきたことですし、解決してきたことばかりだというのが
教えることに対するちょっとした自信でもあります。
 
口幅ったい話ですが、ときどき雑誌掲載などで取材をしていただく機会があります。。
少し前に取材していただくのが続いたときがあって、たいてい「珈琲の下地は?」なんて珈琲の修業先を聞かれます。
珈琲を出すお店どころか飲食店さえ未経験なので、珈琲については独学ということでお答えします。
そうすると「独学の徒」なんて格好良く書いてもらえるんです。
実際、誰かに直接教わったことはないのでまあそうなんですが、行く先々の珈琲店で“先生”の所作は盗んできました。
とくに六曜社の奥野さんの手元を凝視しに行くことはよくありましたし
ネルの経験値を増やすために伺った東京の名店のマスターも先生です。
もっと言えば僕が美味しくないと思う珈琲だって先生だし、深煎りではない中煎りなんかの酸っぱいエスプレッソなんか特にそう。
いつかこの酸っぱいエスプレッソでも価値観が変わるくらい、美味しいと思わせてくれる一杯に出会えるのではないかと
期待して新たな先生を求めて新しい店にも足を運びます。
珈琲の教本からもたくさん教わったので、その本も先生です。
でもやはり、カフェ・ドゥ・ガウディのご主人が唯一のお師匠さんです。
ネルドリップに取り組み始めたときも、東京で行くべき名店を教えていただくのも
何かを改良したら確認してもらうなどいつも頼っています。
 
こうやって人に教えるために、普段やっていることの確認作業をしています。
珈琲を淹れる動作を分解して、その意味や目的を定義付けするような感じで
トヨタ自動車の「改善」ではないですが、面白いもので改善点が見つかり
それを修正して珈琲を淹れるのが上手くなったように思いまた自惚れています。