さんさか ネルドリップ珈琲と本と

守破離の「離」

JAPANESE DANDY ジャパニーズダンディー
「JAPANESE DANDY」という写真集。
発売前から欲しかったのだが高価なので躊躇していて、中古でも構わないから安くならないものかと
Amazonのページを時折みていた。
先日お会いするたびに洋服の話で盛り上がる、ご贔屓にしていただいている方ともこの写真集の話になり
のどから手が出ていたのだろうか、「手元にあるので差し上げましょうか」と。
無遠慮ながらも「いいんですか?ぜひください!」と言いつつ、「うん?なんでですのん??」とお尋ねすると
「それに出てるから」と、そりゃそうだ、ご自身のスタイルをお持ちのダンディーな方だもの合点がいく。
で、その小躍りするほどうれしい写真集が手元に。
 
念のため「ダンディー」と聞いて「ちょいワル」を思い浮かべた方、
全く違います。
「WellーDressed Man」というべきだろうか。
写真集に登場する約120人のうちファッション関係の人はたくさんいるが
俳優やモデルのような被写体となる仕事の人は一人もいない。
日頃から自分で服を選んで着ている人たち、スタイルをお持ちの方々なので本当にカッコいい。
どの人も若づくりをせず、年齢にあった着こなしをされているのも共通しているように見える。
ユナイテッドアローズの栗野さんも出ているのだが、「ちょいワル」という言葉が定着した当時
「少しワルぶったり」することがお洒落か?と書いておられた。
中年男性が急にお洒落に目覚めても、自分のスタイルが身についていなければただの「型なし」になってしまう。
写真集に登場する人たちは、型が身についているから「型破り」であってもカッコいいのだ。
 守・・・型を守り型を覚える。
 破・・・型を破り試行錯誤する。
 離・・・型から離れ新しく型そのものをつくる。
この武道の教えである「守破離」はご存じだと思うが、男の服装とはまさにそういう世界だ。
 
国連事務総長のコフィ・アナン氏が在任中、コソボ民族紛争へ国連の同意を得ず
軍事介入を決め空爆を実行したアメリカの暴走を止められなかったとして、抗議の意志を示すとともに
自分は完璧な装いをする資格はないとの理由から、ポケットチーフを外して会見に臨んだのは有名な話。
たかだか40cm四方の布切れに、そんな意味合いがもたらされることもある。

この写真集をお譲りくださった方は蝶ネクタイ姿がトレードマークである。
お礼にと思い、レディメイドではなく手結びのバタフライを探して、思い当たる店を四条通りを東から西へ
自分が勤めていた店も探しまわったものの良い収穫はナシ。
そうなるとお金を出して買えるものではつまらないと考え、洋服屋の頃、上司から譲り受け自分には
使いこなせずにいたポケットチーフを差し上げることに。
最近では見かけることのない色柄なので気に入ってもらえるといいのですが
この場を借りてあらためて感謝申し上げます。