さんさか ネルドリップ珈琲と本と

しょうがないねぇ

高田文夫SWITCH Vol.32 No.3 ◆ 進化する落語 ◆ 春風亭一之輔
三谷幸喜
小山薫堂
爆笑問題
宮藤官九郎・・・
そして、春風亭一之輔。 → この表紙です。
共通するのは日大芸術学部出身。

クドカンが脚本を務めた2005年のドラマ「タイガー&ドラゴン
若い世代にも粋で乙な落語が注目されてからもう10年近くも経つのか。
小学生の頃、学校から帰るとダウンタウンの「4時ですよーだ」を観て育ったので、もろにダウンタウン世代。
笑いの基準が完全に松本さんなわけで、その松本さんが桂枝雀の高座の録音を携帯に入れていて時々聴くというのを何かで知った。
好みの程度だけど、関西弁で書かれたエッセイとか、関西弁の演劇とかはどうもすっと入ってこなくて
とくになにわことばの上方落語はどうも好きじゃない。
好きなモノは?と聞かれたとき、落語家は「桂枝雀」、ミュージンシャンは「忌野清志郎」、映画は「ファーゴ」と言っておけば
それらしく聞こえるいくつかのパターンではないかと最近考えている。
 
コントライブや演劇とか何かしら生の舞台を観ることが好きで、この十年は年に何度か劇場に出向いていた。
それほど落語には興味があったわけではないけど、初めて立川志の輔の大阪公演に行ったのが6年前。
橋下大阪市長が、予算を巡って一悶着やらかしていた国立文楽劇場での独演会を3年続けて観に行った。
今思うと、最初が志の輔で良かったと思う反面、現代最高の噺家の一人である高座を体験してしまうと
こちらの目と耳が肥えてしまう。
ある年の独演会の前座でお弟子さんが小噺の「つる」をかけて、別の年に志の輔がまくらで同じ「つる」を少し喋ったことが
あり、その違いようにこれは稽古してどうにかなるもんじゃないと感じた。
 
春風亭一之輔
柳家三三
桃月庵白酒
高田文夫が若い噺家ですごいのはとこの3人を紹介していたのを知って間もなく
柳家三三が全国47都道府県で47公演やるというので、昨年4月の大津公演で観ることができた。
今年も全国行脚中で京都はたしか終わって、6月に滋賀での公演がある。
有料チャンネルWOWOWで落語もやるので、この3人とも聴くことができた。
3番目に聴いたのが春風亭一之輔なんだが、大学卒業後に入門して2012年に史上初21人抜きの大抜擢で
真打に昇進した36歳の噺家
これがとんでもない噺家で、良い意味で無茶苦茶で頭がくらくらするくらいの面白さだった。
彼の高座のためだけに東京まで行こうかと考えていたら、6月に大阪で独演会あるので楽しみにしているところ。

一之輔の放送を繰り返し何度も観て、一之輔一色な時期がしばらく続いた後、立川志の輔が1月にこの9年続けている
パルコで行う1ヶ月公演の今年と去年の放送を観た。
やっぱり師匠はすごい!
一之輔熱が吹っ飛ぶ高座だった。
ガッテン、ガッテンしか観たことのない人が多いだろから、ぜひ志の輔師匠の高座を聴いて欲しい。
落語はライブ。だから「いま」観ないと後悔する。
今この時代にいる噺家さんたちの今の芸を。
ここに書いた何人かの落語を観られただけでも幸運に思う。
 
自分にとって落語は上方より、粋で乙な江戸のほうが心地良い。
噺を聴いて「そんなアホな」、「そんなヤツおらへんわ」みたいにつっこみたくなる上方落語に対し
江戸落語は「しょうがいないねぇ」とつぶやきたくなる。