さんさか ネルドリップ珈琲と本と

珈琲界の御三家と絶滅危惧種のネルドリップ

自家焙煎珈琲の世界で御三家と呼ばれる名人がいます。
オールド珈琲の名人を筆頭に、ペーパードリップで自家焙煎を世に広めた人、
そして究極の珈琲を目指し半ばトランス状態に陥った店主。
焙煎や抽出の技術論といった珈琲を美味しく飲むための指南書というよりかは、
珈琲にすべてを捧げた先人たちについて書かれています。
この方々の尽力もあってか、ある意味では日本の珈琲文化は独自の進化を遂げたようで、
欧米ではほとんどエスプレッソマシンに席巻されていて、ドリップ式は追いやられ、
特にネルドリップはとうの昔に淘汰されています。
日本でもペーパードリップがすっかり主流で、うちの店のようにネルドリップはごく少数派です。
さらに近頃はフレンチプレス式を採用するお店も増えてきていますし、サイフォンにこだわるお店もあったりして、
抽出方法で異なる味わいの珈琲を楽しめる日本は海外から見るときっと贅沢に映ることでしょう。
いずれにせよ、この本を面白く読んでいるということは、程度は違えど自分も珈琲に憑かれた一人なんだろうなぁ。