さんさか ネルドリップ珈琲と本と

言ってあげたほうがいいこともあると思う。

スマホが嫌いだ。
ということを周りの人にしょっちゅう宣言している。
会うたびにそんなこと言っていると、嫌われるだろうというより、なかば頭のおかしい人だと思われているかもしれない。
iphone6の大きい方に買い替えた人に、見るなり「デカいなぁ」と思わず言ってしまった。
iphone28とかになっても、新作が出るたびの一喜一憂が続いていれば面白いのに。

ちょっと意地悪で悪意のある言い方かもしれないが、スマホから手が生えているというか
スマホに人間がくっついているかのような姿をよく目にするようになった。
もはや使っているというより、スマホに乗っ取られているように見えて心配になってくる。
ホーキング博士が開発の進む人工知能AIについて、「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」
と警告するコメントを出していたけど、ある意味コンピュータに支配されている感覚に近いと思っている。
 
スマホを持たないことの理由は2つ。
子供ではなくあえてガキと呼ばせてもらうが
小中学生のガキでも使いこなせるオモチャを、オッサンになってまで同じように持つのは絶対に嫌だ。
そもそもみんなと同じモノを持つことに大いに反発する。
あんなもの今の子供たちのほうがはるかに上手に使いこなせるのに、同じように使うのは癪にさわる。
この前の事件のように、中学生が親の知らない交友関係のいざこざで亡くなるようならそんなモノは必要ない。
中学生の頃、ヤンチャで面倒事に巻き込みそうな年上の人が家に誘いに来ても、親や祖父母が断ってくれていたように記憶している。
あと、老眼なのにメガネをずらしてレンズの上から画面をのぞく姿はどうしようもなく不格好だ。
 
それともう一つは、どうにも勘が鈍るような気がすること。
初めての飲食店に入るとき、なんなら店先で口コミを調べてからその店に決めることもでき
ある一面では便利かもしれない。
でも店構えや店先のメニューボードから察する雰囲気で、美味しいのか、時間や金額などその時の
要望に合うのかを決められる方が人間らしいと思う。
(決めごとの一つに、料理の写真が外に貼ってある店にはまず入らないことにしている。)
すぐに調べられるのは便利だけど、そうせずに美味しくない店に入ってしまい、自分で失敗したり損しないとダメなんだと思う。
失敗のない成功だけの経験値なんてほとんど無意味だ。
 
ちょっと違う話かもしれないけど、この時期とくに、それ鈍感なんじゃない?と思う光景がある。
それは冬が終わっても肌寒い日はあるだろうけど、4月になり、GW間近になってもウールのコートや
ダウンジャケットを着ている人がたくさんいる。
若い女の子のキャメルベージュのウールコートが特に目立つ。
暑くないのだろうか。
定番のコットンギャバジンではなく、薄っぺらいコットン生地のトレンチコートをここ数年、春コート
としてみんな着るようになったけど、そのベージュとウールのベージュはぜんぜん違うからね。
洋服屋の感覚でいうと、ウールコートやダウンは12月の寒くなってから着始めて、2月が終わるまで
しか着ちゃいけないし、キルティングのアウターもそれに近い。
桜が咲く頃ってまだ寒いんだけど、もう春になったら中に着込む努力をしてでも上着は軽くしないと格好悪い。
そういう季節感を上手に着こなす人を見るとお洒落だなぁと思う。
反対に先取りすぎても恥ずかしいことになる。
例えば10月なのにダウンを着て中は半袖のTシャツ一枚なんてのは、ミュージシャンとか
テレビの中の人のように勘違いで生きていける不埒な人にだけ許されるものだ。
 
脱線したけど何が言いたいかというと、「それおかしいよ」っていうのが互いに言いづらい人間関係なんだと思う。
これまでの直接会って話をするコミュニケーションなら、顔色をうかがったり微妙な表情の変化で
瞬間的に相手の気持ちを察するというか、嫌がることを言ってしまった後の気づかいだったり、どうにかフォローしていると思う。
相手を怒らせるより上機嫌な方が良いに決まっている。
会って話をする機会が減り、表情の見えないSNSの中だとわざわざ相手の欠点というか、嫌がることを言うのを
避けるようになり、イイことだけを互いに‘ひけらかし’合うようになるんだと思う。
ちょっとした「それおかいしいよ」という指摘が気軽ではなくなり、格好悪いとか不作法だという
ことを誰も教えてくれないので気づかないままでいる。
 
SNSみたいなのは好きな者同士、共通項がある人たちが当然集まる。
だから自分たちの意にそぐわないことや間違ったことへの非難たるや、全く見合わないくらいの惨事になり炎上する。
不寛容だし、悪意のコントロールが下手になっている。
最近、この‘ひけらかし’と‘不寛容’というのがずっと気になっているので、また別の機会に。